衛星放送協会は、協会会員社が提供する有料・多チャンネル放送の啓蒙、普及発展を推進する団体です。

活動報告

第三回 ケーブル委員会次世代セミナー

2015.04.20

衛星放送ケーブル委員会では、昨今の放送のIP化によるタイムシフト、デバイスシフトを如何にマネタイズするか、という点を主眼におき、率先して新たな事業に取り組まれている4社5名のスピーカーをお招きし、第三回『ケーブル委員会次世代セミナー』を4月7日(木)に開催した。

第一部:
『放送と通信融合時代と言われる中、NHKでは将来に向け放送と同時のネット配信実験に着手している。その枠組みや平成27年度の結果などについて解説する』
日本放送協会 メディア企画室 室長 近藤 宏様
近藤 宏様

近藤 宏様

冒頭に、NHKデジタルサービスの変遷、インターネット同時配信の運営上のルール・内容についてのご説明を頂く。

引続き、2015年度に実施したインターネット同時配信実験(実験A:対象制限無、受信契約者以外でも視聴可。実験B:対象制限有、受信契約者約1万名)の結果及び課題について、2016年度実施予定の継続施策、その課題についての説明が行われた。

第二部:
『マルチスクリーン型放送研究会(マル研)の目指すテレビ』
(株)毎日放送 経営戦略室 マネージャー 齋藤 浩史様
齋藤 浩史様

齋藤 浩史様

2011年12月に在阪民放5局が中心となり、発足したマル研の目的およびコンセプトを冒頭に説明。

2014年12月より『SyncCast』を立ち上げ、1年間の試験運用、2015年1月からの本格運用ののち、見えてきたこと、課題についてデータを基に説明が行われた。

2016年3月よりNTT西日本と提供する『モアテレビ』サービスについても紹介頂く。

第三部:
『エムキャスの現在~未来』
東京メトロポリタンテレビジョン(株) 事業局クロスメディア推進部長 服部 弘之様
デジタルコンテンツ開発部長 茅根 由希子様

冒頭に第二部の齋藤様によるマル研の講演を踏まえ、SyncCastアプリを使っての実施内容や効果、課題などについて説明を頂く。

その後、エムキャスアプリをモニター投影しながら、わかり易くサービスの概要や特徴、今後の課題の説明が行われた。

服部 弘之様

服部 弘之様

 
茅根 由希子様

茅根 由希子様

第四部:
『多チャンネル放送のマルチデバイス向け配信への取り組みについて』
日本デジタル配信(株) 取締役 専務執行役員 橋本 幸典様
橋本 幸典様

橋本 幸典様

衛星放送協会ケーブルプラットフォーム勉強会との意見交換会を経て、JDSが今後取り組む多チャンネルのマルチデバイス向け配信について説明が行われた。

前半はケーブル局とヒアリングを行った上で見えてきた課題や目的、2016年度にサービスを開始する意義の説明があり、後半は4K番組の調達を行ってきた中で見えてきた権利問題等に関してのJDS見解について説明頂いた。

開催日時 平成28年4月7日(木)
会場 明治記念館(港区元赤坂)
参加社数 48社 109名

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2016年 年頭記者会見

2016.01.27

1月20日、衛星放送協会の新年賀詞交歓会に先駆け、元赤坂の明治記念館にて恒例の年頭記者会見が開催されました。

年頭挨拶 和崎会長
和崎会長

和崎会長

衛星放送協会、メディアを取り巻く環境はこの1年間に2つの大きな動きがありました。

まず、動画配信です。インターネットを使った映像配信市場は利用者の生活スタイルの変化を背景に、様々なモデルが出てきました。huluやNETFLIXなどの月額定額制モデルだけでなく、amazonはプレミアム会員の年会費だけで視聴できる新たなビジネスモデルを展開しています。更には都度課金型の動画配信モデル、また地上波民放5社はTVerという無料の見逃しサービスを始めました。この環境の中でわれわれ衛星放送事業者は、手を携えていくのか、または正面から向き合っていくのか、さまざまな可能性が見えてきた1年であったと感じています。

2点目は放送サービスの高度化が動き始めたことです。昨年、放送サービスの高度化はまずスカパー、ケーブルテレビ、ひかりテレビなどで4Kの映像サービスが開始されました。12月25日には総務省から2018年の実用放送に向けたロードマップが発表され、臨場感あふれるすばらしい映像を今後どのように有料多チャンネル放送の世界で活かして行くのか、関係者はその選択を迫られる事になります。しかし、現時点では残念ながらコンテンツ制作費や設備投資に伴うコスト回収や、使用する帯域などはまだ不透明であり、ビジネスモデルが明確に描かれない中で、次の時代と向き合わなくてはなりません。このようなことから、今年は次の時代をにらみ、鍵となる重要な年と言えます。

次に有料多チャンネル放送の契約者数をご報告します。2015年11月末で1,360万件となりました。2014年11月末時点は1,342万件でしたので、1年間で18万件増加しました。契約数はこれまで頭打ちあるいは減少しておりましたが、今年度末の着地は明るい兆しになっています。増加の背景にはケーブルテレビの契約数が大きく伸びたことが挙げられ、この流れを生かして契約者増を実現したいと思います。

さて、衛星放送協会では視聴者に有料多チャンネル放送の存在感を示し、番組の魅力を知っていただくために、2011年にオリジナル番組アワードを設立しました。昨年は5回目を記念して、オリジナル番組賞7部門の中から、そのベスト・オブ・ザ・ベストを選ぶ「大賞」を設立しました。「大賞」が持つ意義は、作品を単に世の中に知らしめるだけでなく、制作者の中で切磋琢磨が芽生えたことだと感じています。

有料多チャンネル放送市場が成長するためにはオリジナルコンテンツの充実が重要ですが、その番組や視聴方法といった基本的なサービス情報はまだ一般視聴者に浸透していないのも事実です。そこで、衛星放送協会では、多くの視聴者が疑問を持つ「CSとBSの違い」、「加入方法」、「どこで何が放送されているのか」といった基本情報の周知強化を図るため、2015年10月に衛星放送協会ホームページをリニューアルしました。

また、インターネット上に違法アップロードされた動画コンテンツの著作権侵害は、有料多チャンネル放送業界にとってビジネスの根幹に関わる問題として、撲滅に向けて取り組んでおります。同時に改ざんB−CASカードによる不正視聴対策についても、協会で制作したCMを引き続き会員社で放送して参ります。

続いて衛星放送協会の活動の大きな力となる2つの組織について申し上げます。「多チャンネル放送研究所」は中・長期的な視点で有料多チャンネル放送の課題等を予測し、調査、分析した結果を会員社に報告しています。動画配信や放送サービス高度化の流れの中で、この研究所が果たす意味合いはますます大きくなると考えております。

次に衛星テレビ広告協議会(CAB-J)は「機械式ペイテレビ接触率調査」のデータを基に広告の展開施策を検討し、さまざまなクライアントに対してニーズに沿った提案をして参ります。

有料多チャンネル放送業界の発展に向けて、2020年の東京オリンピック・パラリンピックをひとつの通過点と捉え、その先々においても社会の信頼に応えることが重要だと考えております。その鍵を握るのはやはりオリジナルコンテンツの充実です。会員各社はもう一度原点に戻り、専門性のあるコンテンツの深堀と、視聴者に広める取組みに期待します。

本年も皆様のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

今年のオリジナル番組アワードに向けて 吉岡 忍審査委員長
吉岡 忍審査委員長

吉岡 忍審査委員長

オリジナル番組アワードは今年で6回目を迎えます。

5回目はオリジナル番組賞7部門から大賞を設け、昨年は㈱アニマックスブロードキャスト・ジャパンの「TMSアニメ50年のDNA」が大賞を受賞しました。今年もこの枠組みを継続して参ります。放送のありかたはここ数年で大きく変わりましたが、有料多チャンネル放送の強みは番組の中身だと考えています。このアドバンテージをどう作り出すかは各社の課題であるとともに、アワードはそのコンテンツを見いだす役割を担っています。大胆で前衛的、かつ実験的なテーマや技術、手法を番組の中で見て行くことが審査員共通の考えです。前回は全部で125作品の応募がありました。作品数は増えていますが応募社数は30社ほどで固まってきており、更に応募社が増えることを期待しています。また、これまで5回の審査で感じたことは、さまざまな番組を作る究極のテーマは何かと考えると、「愛」ではないかということです。しかし、「愛」を描くことはどこでもやっていることで、審査員の間では「愛」以外のテーマも見たいという話になります。さまざまなテーマがあるはずです。ぜひ「愛」以外のテーマにも期待しています。

有料多チャンネル放送の未来を長期的描いて行くことが重要であると考えています。

ホームページリニューアル進捗 西山広報委員長

衛星放送協会では昨年10月にホームページをリニューアルしました。これまでホームページには衛星放送の基本的な情報を求めてアクセスされている方が多かったことから一般視聴者を念頭に置いて情報強化を行いました。主な変更点は基本情報の拡充、イラストや漫画などビジュアルの活用、多チャンネル放送の充実さを伝えるレイアウトです。リニューアル後3ヶ月間の利用状況では前年同期間と比較しページビュー数が約1.3倍、平均滞在時間は約2倍となり、一定の効果が見られました。今後は更なる情報発進力の強化とスマートフォン用ページの対応などの課題についても取り組んで参ります。

多チャンネル放送研究所 活動報告 音所長
音所長

音所長

多チャンネル放送研究所の昨年の活動ならびに今後の活動についてご報告致します。多チャンネル放送研究所では実態調査、多チャンネル放送事業者予測調査、多チャンネル放送視聴者調査を昨年提出致しました。特に視聴者調査については有料動画サービスへのユーザ意識と多チャンネル放送の課題について調査しております。これらの調査については2015年12月18日に定例の発表会を実施致しました。また、多チャンネル放送のコンテンツや次世代サービスに焦点を当てたシンポジウムを2月、10月に実施致しました。今後は定点観測調査やVODサービス、4K・8Kの動きを視野に入れた調査を6月に実施する予定です。視聴者調査についても世代別に調査を実施致します。来年秋には多チャンネル放送研究所は設立10年を迎えます。10年目の節目にふさわしい研究を検討しておりますので今後ともどうぞよろしくお願い致します。

衛星テレビ広告協議会CAB-J 活動報告 滝山会長
滝山会長

滝山会長

CS/BSペイテレビ広告市場についてご報告致します。

今年度上期のCS/BSペイテレビ広告売上は100億830万円となり、前年の110億1,870万円を約10億円下回る結果となりました。前年同期との対比で90.8%となります。一部チャンネルにおいて例年実施していた大型イベントが終了したこと等による影響の約7億円が主な要因です。下期に入ってからも厳しい状況は継続しておりますが、メディアの皆様や広告会社の皆様の力添えを頂きながら2015年度通期では200億円の大台を維持すべく、CAB-J会員各社においては積極的な営業活動を実施して参ります。昨年10月と11月には一昨年に引き続き「CAB-Jセミナー」を東京と大阪で開催致しました。セミナーにおいてはチャンネル各社がそれぞれの専門性に応じて実施したイベント企画や番組連動の販促事例、広告事例、さらにはCS/BSペイテレビをご利用いただいた広告会社の生の声を紹介し、参加された方からは好評を頂きました。本年もさらにご満足いただけるセミナーを開催したいと考えております。

また、2015年4月より地上波各社を中心とした無料BSテレビが「機械式接触率調査」を開始しました。調査の結果が好調なこともあり、営業においても有効活用されているようです。CAB-Jとしましても、機械式調査の先駆者として「機械式ペイテレビ接触率調査」の機能向上とともにさまざまな角度から分析を行い、広告会社の皆様に対してより実効性の高い提案をして参ります。

本年もCS・BSペイテレビの広告活動向上を目指し活動をしてまいりますCAB-Jに対し、メディアの皆様のご支援ご協力を賜りますよう引き続きよろしくお願い致します。

左から、園田専務理事、井川副会長、和崎会長、木田副会長、滝山CAB-J会長、音多チャンネル放送研究所所長

左から、園田専務理事、井川副会長、和崎会長、木田副会長、滝山CAB-J会長、
音多チャンネル放送研究所所長

開催日時 平成28年1月20日(水) 11時~12時
会場 明治記念館 千歳の間

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災害対策委員会セミナー ~サイバー攻撃への対応について

2016/1/15

羽生千亜紀氏

羽生千亜紀氏

昨今、特定の会社などに甚大な被害をもたらし、情報の漏えいや機能不全に陥らせる「サイバー攻撃」を未然に防ぐには、どの様な対策・対応をすべきか、情報セキュリティ対策の一環として「サイバー攻撃等への対応」をテーマに、NTTデータ先端技術株式会社 セキュリティ事業部 ITセキュリティグループ長 羽生千亜記氏をお招きして開催されました。

セミナーでは、最近のセキュリティ動向・事例、情報セキュリティ対策の基本、多層防御の必要性、より専門的な対策など資料を基に、実際の事例を挙げながら説明をしていただきました。

サイバー攻撃のひとつとして、近年は「標的型メール」が急増しており、以前は明らかに不審であることが判るメールが多かったが、不審とは思えないメールが届き、利用者が疑問を持たずに開いてしまうと知らないうちに感染してしまうなど、侵入手口が巧妙化しており、より一層の注意が必要であると考えさせられました。

また、自社のセキュリティ対策の現状を把握し、サイバー攻撃に関する情報分析やインシデント対応のための技術、万が一ウィルス等に感染した際に、被害の拡大を防ぐことができる体制を構築しておくことが重要であると認識いたしました。

最後には質疑応答もあり、参加者たちの熱心な質問にセミナーへの関心の高さがうかがえ、盛況のうち閉会となりました。

開催日時 平成28年1月13日(水)
会場 衛星放送協会
参加社数 22社 31名

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多チャンネル放送研究所 第7回発表会まとめ

2016/1/12

多チャンネル放送研究所では毎年秋にそれまでの一年間の活動をまとめる発表会を行っていますが、今回第7回目は12月18日(金)に明治記念館で開催いたしました。

発表会では研究所の3つのWGがそれぞれの研究内容を発表し、それを受けて所長の音好宏から「課題検討のための視座」というテーマで、まとめと問題提起をいたしました。概要は次の通りです。

■ 将来像予測WG
藤島克之将来像予測WG主査

藤島克之将来像予測WG主査

多チャンネル放送事業者の収支状況について、加入世帯数は減少トレンドだが減収にはなっていないとみられ、費用面でも124/8のSD放送終了に伴い、トラポンコストの減少等コスト圧縮傾向、損益ベースでみると改善傾が伺える。加入者の傾向としては、110サービスは微増する見方が強く、124/8は減少傾向、CATVは現状維持、IPTVは微増傾向と、現在のトレンド通りの結果であった。経営課題として、見逃し視聴やオンデマンドへの取り組み状況は大半が実施および計画中であり、権利交渉やコスト面で課題はあるものの「放送以上に重視する」もしくは「同程度重視」と考えている事業者が約半数となった。2020年の放送サービスについては、4Kやタイムシフト、VOD視聴の普及が浸透しているとする一方で8Kは普及していないとの見方が8割ほどにのぼった。4KやOTTへの取り組み実績については半数程度だが、4Kについては関心度の高さがうかがえた。

ここ数年でOTT市場が活発になったことを受け、6社にヒアリングを実施したところ、各社から興味深い話を聞くことができた。OTTと一言でいっても、そのサービス内容や戦略、ターゲット層などはさまざまで、放送事業者にとっては競合する面もあるが、OTT事業者からは放送事業者はコンテンツホルダーとして見られている側面があり、共同でのPRなどを通じて相互補完が可能で、共栄できる要素があると考えられる。

スマートTV、タブレットの普及、インターネットの高速化などを背景にOTTにおける動画配信サービスは今後も市場拡大していくと予想される。

また今後、IPリニア配信についても増加すると予想される。

■ ユーザー分析WG
清正徹ユーザー分析WG主査

清正徹ユーザー分析WG主査

有料動画配信サービスが多チャンネル市場に与える影響について2013年の定性調査、2014年の定量調査を行っており、今回2015年は加入の時系列で定量、定性の側面から調査を実施した。

各層の特徴としては、有料多チャンネルの契約者は年齢層が相対的に高く、有料VOD、有料携帯キャリアはTV視聴時間が少なく、個人視聴傾向が強いことや各層ごとにみると、有料放送の直近解約層は既婚率が高く、家族視聴傾向が非常に強いことなどがわかった。

各サービスの認知率としては、ポテンシャル層ではyou tubeやWOWOW等の認知が60%を超えるものの、携帯キャリア等のサービスやNetflixについては認知率が低めとなり、まだ念入りにサービス内容を調査していない実態。有料VOD、携帯キャリア加入層は、有料CS放送加入層に比べて各サービスへの認知率が高く幅広く認知されている。

各層が重視するポイントとしては、有料CS放送は、費用・手続きが重視されているがそれに対する評価は各因子の中でもっとも低く、自分の好みに合うかという点も重視されており、評価も高い結果となりCS放送の強みといえる。有料BS放送は、CS同様費用手続きの点が重視され評価は低めとなった一方で、専門性の高さなど独自性が最も評価されている。有料VODや携帯キャリアは費用・手続きが最も重視されており、かつ最も評価されており強みとなっている。VODや携帯キャリア層からみたCS放送の評価としては、費用・手続きの点で低い一方、独自性や最新・話題の点では評価が高くなった。スカパーのHPから加入についてグループインタビューをしたが、加入手続きが煩雑な印象が強くハードルとなっていると考えられる。

ロイヤリティについては、コスパの高さやいつでもどこでも見られる点でdtvやコンテンツの豊富さでWOWOWが分かりやすさの点も含め高い評価となったが、スカパーサービスは価格の高さやch数が過剰という点で推奨意向が低い結果となった。クラスター分析結果は、有料携帯キャリア、VODは消費意識が先行型で高く伝播力が高い、一方で有料CS放送は相対的に受動的であるという結果となった。

これらの結果から今後の課題として、新規獲得の側面では若年層を取り込むためのリーズナブルな料金、サービス全体の分かりやすさ、マルチデバイス対応や多チャンネル放送の強みである専門性・多様性といったメッセージ発信が重要と考えられ、解約防止の側面では独自コンテンツの強化、見逃し配信やVOD対応といった利用を促進する環境づくりが必須となってくる。

■ コンテンツ論WG
神崎義久コンテンツ論WG主査

神崎義久コンテンツ論WG主査

実態調査の結果から自主制作番組比率(放送時間ベース)は全体の平均値が32.5%で前年比で約2ポイント増加、外部調達番組の比率は昨年同様の傾向で10%未満と80%以上が16chと2極化が進んでおり、自主制作番組の制作については現状維持が増えており、全体的に高止まりの傾向が伺える。オリジナル番組は、90ch中82%が制作。独自性、専門性の開発という理由が多かった。制作上の課題としては、番組制作コストの捻出が最も多く、その解決策としては、スカパー、CATV局との連携との回答が多かった。費用回収の解決策としては、昨年同様マルチデバイスなどでの配信先の拡大が最も多く、地方局や映像配信事業者への番組販売が続き、ビデオパッケージ化は昨年比で減少する結果となった。

昨年2014年の8月の第1回に続き、第2回として2015年2月に開催、第3回は2015年11月にシンポジウムを開催した。第2回では、「放送の高度化と多チャンネル放送の未来図について」というテーマの下、4Kの普及は、制作体制の整備と2Kとの差別化が重要で海外への販路拡大やノウハウの提供も視野に市場の活性化が可能で、金額面の手軽さや利便性を求める若年層へのアプローチとコンテンツの独自性を追求することで海外も含めて市場の拡大も見込めるとの提言があった。

第3回では、4K・8Kの推進や放送の高度化における次世代コンテンツについて取り上げられ、メーカー側との両輪を担うことで需要は徐々に形成され、コンテンツの積極的な制作と幅広いPRによって普及が促進され、4Kにおいても収益性が確保できるようになる。スマートフォンをベースにした生活機軸による見逃し視聴やプレイスフリー化が必然で、さまざまな形で視聴機会を提供しつづけることによって動画配信事業と放送事業は共存共栄できる関係であり、コンテンツ市場の活性化にもつなげられるとの提言があった。

高画質化とデバイスへの対応はそれぞれ向上させることが望ましいが、コンテンツとの適性も意識しながら時間と場所を問わず視聴可能な環境を整えていくこと、権利処理の促進とコンテンツ開発を行い、その蛇口を多く持つことが、有料多チャンネル市場拡大のカギを握ると考えられる。

■ 課題検討のための視座
音好宏所長

音好宏所長

多チャンネル放送実態調査によると、収益は改善傾向ではあるが、命題である加入者の新規獲得において多チャンネル放送がまだまだ認知されていない。チャンネルや番組自体の認知向上が課題といえる。また、解約防止策の充実も重要である。4Kへの取り組みとして、テクノロジーによる状況の変化によってマーケットを拡大しより身近なものにすることが重要である。2015年は動画配信の本格的なスタートとして位置づけられたが、多チャンネル放送事業者により、その関心度は分かれるもののOTT事業者をパートナーになりえるとの見方も多い一方、Netflix等への危機感も垣間見える結果となった。

NHK放送文化研究所の「日本人とテレビ」という調査によると60代のテレビ接触も減少傾向が見られた。推測されるのは、リタイア後も利用習慣のあるパソコン利用が続くことが類推できる。TV業界の厳しい現状が浮き彫りとなった。OTTは個人視聴の傾向があり、多チャンネルが高齢者またはファミリー層にどのように刺さるのかがカギであろう。また衛星放送は、今、政権与党内で検討が進んでいる放送法の改定といった制度面の整備を追い風にできているかも注視すべき点である。

今後の検討課題として4つの視点で整理すると、多チャンネル放送にとって大事なのはコンテンツであることは言うまでもないが、そのコンテンツパワーをどのように維持発展させるのかが課題。自社にあったコンテンツをいかに調達し、制作、維持・発展させるのか等、コンテンツパワーを強化させる仕組みを考えていく必要があり、またコンテンツ流通においてOTTからパートナーとして捉えられている好機にコンテンツ流通においてプレゼンスを高めていく必要があるのではないかという点を問題提起したい。

技術革新の側面においては4Kが多チャンネル放送の何を変えるのかを冷静に見る必要がある。例えばケーブル局の4K放送の開始は、メディア・ブランドの向上につながる。同様に多チャンネル放送による4K放送開始も、そのロイヤリティ向上につながるだけでなく、既存の番組流通のウィンドウを変えるきっかけにもなりうる。ただし番組制作環境も大きく変わると考えられ、中継における4Kは厳しい状況も踏まえる必要がある。

若者にとってのファーストスクリーンは、TVではなくスマートフォンである。スマートフォンを、コミュニケーション・メディアとしてではなく、動画視聴のメディアとして、横にして映像をみてもらえるかがカギであろう。その先にTVがあるのではないか。また、スマートフォンの縦利用(=縦文化)の象徴であるSNSと、マスメディア利用との連動はうまくいっているのかという点も検討すべきである。

クリエイターの独立志向からコンテンツは市場の動向を無視して分散化する傾向にあるが、独立によるクリエイティブなパワーが市場に受け入れられればキラーコンテンツとなり、大きく伸びる可能性があり、Netflixの例にもあるように多チャンネル放送からから市場を揺るがすほどのコンテンツが望まれる。

Conduitの寡占化が進んでいる今、Conduit側は資本が巨大で、すでに寡占化が進んでいるため、市場による調整があまり効かないため、チキンレースが起こりやすいことも無視できない。ここ10年ほどで変化してきたロングテールについても変化に合わせたビジネスの在り方を検討する必要もある。

開催日時 平成27年12月18日(金)
会場 明治記念館(港区元赤坂)
参加社数 56社 101名

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