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第2回「受賞作品から学ぶ コンテンツセミナー」
衛星放送協会は、2022年12月2日(金)に「受賞作品から学ぶ コンテンツセミナー」を開催しました。今回は、同年7月に開催された「第12回衛星放送協会オリジナル番組アワード」に於いて、番組部門「ミニ番組」、番宣部門、編成企画部門でそれぞれ最優秀賞に輝いた『#居酒屋新幹線』をテーマに、ドラマを軸にした番組制作、ショッピングなど、異業種企業とのマルチプロジェクト展開の内容が紹介されました。オリジナル番組アワード史上初となる同一タイトルによる3冠獲得作品ということで、当日は衛星放送協会の加盟社だけでなく、関係社を含めて44社174人の参加申し込みがあり、関心の高いセミナーとなりました。
コンテンツセミナーは、アワード受賞作品を企画・制作した関係者を招き、企画の誕生秘話、完成までのプロセスやエピソード、反響や成果に至るまで、さまざまな角度で深堀するものです。加盟社のオリジナル番組制作と、クロスメディアビジネスの活性に繋げようと、授賞式の後に開催しています。
今回は、「#居酒屋新幹線」をプロデュースしたチャンネル銀河(株)の津田悠子氏をお招きして、「マルチビジネス展開」と、ドラマを中心とした「番組制作」の2部構成でお話を伺いました。進行は、オリジナル番組アワードの審査員長で、ノンフィクション作家の吉岡 忍氏。聞き手は、同じく審査員で放送作家の石井 彰氏と、角川アスキー総合研究所 ビジネスプロデュース事業部 コンテンツ制作2部 部長の片岡 研氏にも参加いただきました。
『#居酒屋新幹線』は、2021年12月にMBS/TBSで全8話放送されました。その後、地上波で未放送分の4話が制作され全12話がチャンネル銀河で放送されました。クロスメディア展開として、講談社ビーシーが発行するグルメ雑誌「おとなの週末」との連動による誌面露出や、コミカライズ化(KADOKAWA刊)が行われたほか、ドラマ内で紹介された名産品やお酒は、「おとなの週末」のWeb「お取り寄せ倶楽部」に加えて、楽天や地方酒屋のECサイトとも連動し購入が可能となっています。(2023年1月時点) 他にも、ドラマに主演した眞島秀和氏のオフィシャルビジュアルで等身大パネルをロケ場所に配置したことにより、番組宣伝だけではなく、紹介した地域や食材にも注目が広がり、合わせて地方自治体と連動した地方企業の応援企画も行われました。また、ドラマで紹介した東北の旅と食を追求した15分の情報番組も制作し、こうした連動番組をチャンネル銀河で放送し、アワードでは、番組部門ミニ番組で最優秀賞を獲得しています。こうした、見応えあるドラマやミニ番組に加えて、360度に展開させた連動企画の成功が、編成企画部門の審査員からも高く評価され、オリジナル番組アワード史上初となる同一タイトルによる3冠に輝きました。
『#居酒屋新幹線』は、“地方・黙食・テイクアウトグルメ”をキーワードにしたドラマ。損保会社の内部監査室で働く高宮進(眞島秀和)が出張帰りの新幹線で見つけた極上のテイクアウトグルメとお酒を堪能する作品で、製作委員会方式によって制作されました。
『#居酒屋新幹線』は元々、この脚本を担当した4人によって企画が生まれました。ドラマの脚本だけに留まらず、原作として残したいとの発想からスタートしています。津田氏は、「これまでグルメを軸にしたドラマはたくさんありましたが、テイクアウトに焦点を当てたジャンルはありませんでした。また、お取り寄せグルメを扱うなら、リアリティがあって共感してもらえるシチュエーションがあり、かつ放送を観た視聴者が取り寄せたいと次の行動に移してもらえるようにしたかった」と企画の狙いを説明しました。
吉岡氏は「今回は東北新幹線が舞台でしたが、今後は他の地域、ローカル線でも展開できるのではないか。フォーマットに広がりが感じられ素晴らしい。」「観た瞬間にやられたと思った。誰もが経験している駅弁をこのような形で番組を成立させ、ここに隙間があったのかと感じた」と、企画の秀逸さを絶賛。また、石井氏は「眞島さんの起用が素晴らしかった。ゲスト選びが渋くて上手い。旅番組は食に寄りすぎると番組としてつまらなくなる傾向にあるが、そこを内部監査の仕事をするサラリーマン目線でドラマを上手に仕上げていた。SNS上での交流を演出に加えたことも調味料として効き、ここはプロデュースチームによるマルチ展開の力」と評しました。
津田 悠子氏
片岡 研氏
『#居酒屋新幹線』は、地上波(TBS系列29都道府県)、チャンネル銀河での放送加えて、Netflix、U-Next、Paravi、Hulu、Rakuten TV、DMM、ひかりTVで配信されています。また、WAKUWAKU JAPAN(※2022年3月末終了)を通じて10カ国でも放送されたほか、Netflixやドラマコリアを通じて海外配信も行われています。これらも企画当初からデザインされたもので、「新幹線の旅と食は、インバウンドを含めても面白い」との考えからでした。津田氏は、「コロナが落ち着けばもっと広がっていくでしょう」と今後に期待を寄せています。吉岡氏、石井氏、片岡氏からは「シーズン2など今後の展開に期待したい」とエールが送られ、津田氏は「ぜひ全国の名産品や地酒がご紹介できるよう、シーズンを重ねていけるようにしたい」と抱負を述べてセミナーを終えました。