自身の義足をアートに変えて表現活動をするヴィクトリア・モデスタに密着するドキュメンタリー。出生時に左足神経が損傷しており、幼少期の多くを病院で過ごす。左足の切断を決断し、アートへの追求が始まる。ロンドンパラリンピック閉会式のパフォーマンスで注目を浴び、シンガー、モデル、クリエイティブディレクターなどその活動は多岐にわたる。キャリアを通じて障がい者の概念を覆し続ける彼女の2022年を追う。

「WHO I AM」は、障害者スポーツに焦点を当てたドキュメンタリーシリーズだったが、東京パラリンピックを終えてもアスリート以外に対象を広げてなおも続けている。パラリンピックの時だけ障害者に焦点を当てる番組が多い中、それ以外の時もプロジェクトを続けていることに敬意を表したい。番組の主人公、ヴィクトリア・モデスタは、身障者と思えないほどエネルギーに満ちあふれたモデル。切断した左足に装着した義足をより洗練されたものへと追求し、障害をむしろモデルとしての利点に見事に昇華させていることに感動を覚えた。障害の有無関係なく素晴らしいその生き方を映像の美しさとともに伝え、世界中の多くの人を勇気づける番組に仕上げた。