超低予算・“非”本格派時代劇が故に
① とにかく時代劇シーンを少なく
② とにかくエピソードのスケールを小さく
ということを心がけました。さらに武田鉄矢さんに撮影1週間前に呼び出され、大幅に改稿。結果、こんなドラマになってしまいました。にも関わらずカンテレさんがパートナーとなり、地上波放送、劇場公開、SNSで拡散、高知県の協賛など、想定を遥かに超えたスケールの大きな展開に恵まれ、多くの方に愛していただく作品となりました。
作品紹介
人生最後の龍馬役に挑む武田鉄矢(本人役)の前に、本物の坂本龍馬(三宅弘城)がタイムスリップしてやって来た!感激した武田は、「誰も知らない、ありのままのエピソードを教えてほしい」と頼むが、出てくるのは「幕末のカリスマ龍馬」のイメージを台無しにする格好悪いエピソードばかり。現場は混乱、かつてない、スケールの小さな龍馬の物語が完成してしまう!それは全然「大河」じゃない、「小河(しょうが)ドラマ」だった!!
©時代劇専門チャンネル/カンテレ
作品動画
【審査員講評】
ノンフィクション作家 吉岡 忍
大河の向こうを張って、小河ドラマ。龍馬がゆく、ではなく、くる。単なるダジャレではない。幕末のカリスマ・坂本龍馬の伝説崩しから始まったドラマ制作は、過去と現在、歴史の舞台と現代の撮影現場を行ったり来たり、ドタバタするうち、「時代のローション」として動きまわった彼の姿が浮かび上がってくる。龍馬フリークを自認する武田鉄矢の本気とも芝居ともつかない身振りと口調が、意外に小人物でありながら、しかし、世の変わり目には絶対に必要とされた龍馬の実像に説得性を持たせている。伝説解体の意義もさることながら、ドラマの定番手法を崩したドラマトゥルギー(作劇法)としても、秀逸。